透析センター

超純水透析液を使用した質の高い透析治療

通常、日本で使用されている水道水は塩素で消毒されていますので、細菌は存在しません。
しかし、塩素で消毒後の死滅した細菌から、いろいろな生物活性物質ができます。
その代表的なものがエンドトキシンです。エンドトキシンにおける生体の副作用は多岐にわたり、特にエンドトキシンが血液に大量に侵入すると、透析中にショック(急激な血圧の低下や発熱や悪寒など)を引き起こす原因となります。
慢性的なものとしては、炎症物質が刺激されることにより、動脈硬化の促進、透析アミロイドの蓄積・線維化が促進されるなど、現在分かっている事象だけでもこれだけ多くのことが直接患者さまに降りかかってきます。
当院では厳格な管理のもと、今後さらに増え続ける長期透析患者さまの合併症対策、QOLの向上につとめ透析液の清浄化に取り組んでおります。
超純水透析液とは、厳密な管理といつくものフィルターを通して作成した微量なエンドトキシンなどの不純物が混入していない透析液の事です。
透析患者さまが「元気で長生き」するためには、なにより超純水透析液が必須条件です。
超純水透析液の効果
  1. 1. 血清CRP 値の低下(炎症を調べる検査値)により慢性炎症の改善
  2. 2. 血清β2 ミクログロブリン濃度の低下(透析アミロイドーシス=長期透析の合併症)
  3. 3. 透析アミロイドーシスによる手根管症候群の発生が軽減される
  4. 4. 貧血の改善やエリスロポエチンの反応性が改善される
  5. 5. 低タンパク血症や栄養状態が改善される
  6. 6 .かゆみやイライラが改善される
  7. 7. 肌が白くなる

MIA症候群?

MIA(ミア)症候群という言葉をご存じでしょうか? MIA症候群とは、栄養障害(Malnutrition)・慢性炎症状態 (Inflammation)・動脈硬化(Atherosclerosis)の英語の頭文字をとったものです。
MIA症候群は、「慢性炎症状態では栄養状態を悪化させ、さらに動脈硬化の進展を助長する」ということですが、この慢性炎症を起こす一番の原因は透析液の汚染であることが分かっています。
分かりやすく言い換えると、「MIA症候群とは、不純物(特にエンドトキシンと呼ばれる細菌が出した毒素)が混じった透析液で透析を続けていると、慢性的な炎症が起き、それが引き金となって栄養状態が悪くなり、動脈硬化もどんどん進み、体がだんだん弱っていき、いろいろな合併症がでてくるようになる」という大変恐ろしい問題です。

透析液清浄化の実際

当院では透析液清浄化にたいへん力を入れており、実際の取り組みについて一部ご紹介いたします。

逆浸透(RO)装置

透析用の超純水を製造する装置です。
装置内で「次亜塩素酸ナトリウム活性水」を生成し、RO装置から患者監視装置までをしっかりと消毒することができます。これが「超純水透析液」を安定的に供給する為の環境として重要となります。
次亜塩素酸ナトリウム活性水とは?
次亜塩素酸ナトリウム溶液は、水で希釈しただけでは、強い殺菌力を持つ次亜塩素酸成分の存在比は数%に過ぎません。しかし、この希釈水を0.05~0.1%濃度の酢酸を用いてpH3.6~4.0の酸性側へとpH調整することにより、その大部分が次亜塩素酸成分となり、従来の約15倍の消毒・殺菌効果を発揮します(=活性化)。
そのため、少量の次亜塩素酸ナトリウムで、より強力かつ効果的な殺菌・消毒を実現します。

エンドトキシン除去フィルター

フィルターはすべての装置に設置。
透析装置全台はもちろんのこと、透析液を作成する装置にもそれぞれ設置しています。
少しのエンドトキシンも逃しません!!
透析装置に装備されているフィルターは透析前にその性能をチェックする自己診断機能を有しており、極めて高い安全性を実現しています。

エンドトキシン測定

エンドトキシンは専用測定器で毎月測定。
生菌培養も行い透析液の管理は厳格に行っており、患者さまには常にクリーンな透析液を供給できています。
透析液を作成するための透析用水もとてもきれいです。
日本透析医学会が定めた透析液水質基準と当院の測定値
  検査項目 透析医学会水質基準 当院の測定値
透析用水 細菌数 100 CFU/ml 未満 0 CFU/ml 未満
エンドトキシン 0.050 EU/ml 未満 検出感度以下
標準透析液 細菌数 100 CFU/ml 未満 使用していません
エンドトキシン 0.050 EU/ml 未満 使用していません
超純水透析液 細菌数 0.1 CFU/ml 未満 0 CFU/ml 未満
エンドトキシン 0.001 EU/ml 未満 検出感度以下

※当院では、超純水透析液の基準をクリアした透析液による治療を実施しております。

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樹クリニック
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